『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第125話は、共通テスト後における「受験生の過ごし方」について考える。
「逆転」に限界はあるが…
東京大学合格請負人の桜木建二は、生徒たちに「本番力を鍛える3カ条」を伝授する。それは、「本番と同じスケジュールで生活する」「制服を着て勉強する」「学校の教室で人と一緒に勉強する」の3つだ。
共通テストが終わってから二次試験までの約1カ月半は、逆転できる時間だ。それは同時に「逆転されうる時間」でもある。
この期間は、学校の授業が少なくなる、あるいはゼロになる受験生が多いだろう。一部特別講座のような名称で選択授業を行っている学校もあるが、授業数はそれまでと比べて格段に減る。その分の時間をどう活用するかが最後の粘りどころだ。
自由時間が増えちょっと一息休憩するつもりが、TikTokを見て時間をとかしてしまったという話はこと欠かない。
ただ残酷なのは、「この期間で油断してYouTubeやTikTokを見ていた受験生が全員不合格になっているわけもなく、猛勉強した受験生が全員合格しているわけではない」ということだ。共通テストの後は集中力が切れて惰性で勉強したけど合格した、という人は何人もいる。「逆転!」という言葉には、当然限界がある。
とはいえ共通テストまでは集中して勉強できていた人が、この時期に他のことに目移りしてしまうのは偶然ではない。
ここからの勉強は、「新しいことをインプットする」のではなく「80%や90%理解している箇所を100%の理解へ近づける」ターンにシフトする人が多くなるだろう。時にワクワクするような知見に出会える前者と異なり、後者ではひたすらモヤモヤ・イライラする時間を過ごすことになるだろう。
スマホ依存を物理的に避ける
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
そのような時、「自分は理解しているんだから大丈夫だ」という言い訳が容易にできてしまう。受験直前のスマホ断ちとして有効なのが、スマホやパソコンを物理的に使えない状態にする、ということだ。私が受験生の時に使っていたスマホは、5%までしか充電できないほど劣化していたため、幸いなことにスマホに依存することは防げた。
何も端末をわざと壊す必要はないが、例えばあえて夜充電をしない、モバイルバッテリーを持ち歩かないなどといった対策は役にたつ。親にSNSの制限をかけてもらうのも1つの手段だろう。
受験直前になると、ある教科や分野を「切る・捨てる」ということも選択肢の1つだ。たしかにネットやSNSでは「自分の弱みと強みを分析し、特定の強化や分野にひたすら注力した結果合格した」という体験談を見かけることもある。
ただ注意した方がいい点が2つある。まず、同じような戦略をとって失敗した人の体験談は、目にふれる機会が少ないということだ。そして、「戦略」の成功体験の裏にはえてして運が絡んでいることが多いということだ。物理が難化していた年に、物理を捨てた人が合格したなどというように、「自分ではどうにもできない要素」が成功の鍵であるケースも多い。
こういった戦略をもし立てるのであれば、どの程度運に左右されるのかを極めて冷静に分析しなければいけない。特に、過度に「物語化」されている受験体験記を参考にする時は要注意だ。
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク







