毎日、ひとり夜中に六義園の周りを走りながら、叫んでいた。
「俺はできる、できる、できる!」と。ひたすら自分に言い聞かせて、夜中の空にむかって宣言していた。前に進むにはとてつもない勇気が必要だった。
僕は一度も、トップやリーダーになった経験がなかった。実際、経営もへたくそだった。その分野では結局、たいした成長はしなかった。
だからといって自分の心に従わないわけにはいかなかった。自分がやるべきこと、やりたいことを形にするしかなかった。
その後の5年間、自分の脚で立って、耐えた。やりたいこと1つの裏には、10のやりたくないことがある、それでも一つ一つクリアしていくのが事業である。少しずつ歩み、事業を形にし、最後は前のめりに倒れ込んで人に引き継いだ。その事業は今でも成長している。
大変な時期ではあったが、僕は、その期間、「生きていた」と思う。
生きている過程とは、何かと何かが分かれていない。常に一つである。手段と目的が分けられていない。何かのために何かをする、ということがない。あるいは今と未来が分かれていない。ただ今、その瞬間だけのために何かをする、という状態が継続している。それが生きるということの本性だ。そういう意味で僕はたしかに生きていた。
自由を得るための不安をどう克服するのか?
僕にはメンタルな方法はわからない。
これは自己啓発ではない。再現性と応用性のある具体的な戦術と知識のほうが、意識改革より役立つと思う。だから僕は具体的なリテラシーを語ってきた。第6回「「好き」で「食う」を実現するには?」では、好きなことを継続するためのシステムの創り方を、具体的な事例を挙げながら紹介した。ぜひ自分の好きに当てはめてほしい。
安易な起業も自己啓発も薦めない
Don't make money, create credit.
僕は安易な自己啓発や起業は勧めない。
啓発すべき自己を持たないうちに、自己啓発書やセミナーに時間を割くと、時間と信頼を失うことになる。人生は短くはないが、欲望に翻弄されて回り道をするほど長くもない。