自己啓発する上で自分を知る一番簡単な方法は、どんな組織でもいいから実際にNo.1(トップ)をはってみることだ。自分に何ができて、何が得意で、何ができなくて、何で貢献できるか――がクリアにわかるだろう。僕の場合は、そのプロセスが起業と経営だった。
だが僕は起業することも強くは薦めない。
困難な道だし、初期の報酬は低くリスクは高い。
そもそも本当の起業家は、自分で起業家などと言わない。心に従っていたら起業に行きつき、それを継続したら自然に事業になり、結果的に起業家と呼ばれるようになるものだ。起業の始まりは、無性にやりたくて、焦れったくて、その気持ちをじっと持ち続けてるうちに、長い助走を走った飛行機がフワッと浮力を得るようにして始まるものである。起業は人工的なステップではない。それは衝動的な行動である。
無理に起業しなくてもいい。
浪人でもいい。サラリーマンであることよりも、ニートであることの方がずっと勇気がいる。皆がこぞって就活をするのは、就職したいのではなく、不安を解消したいからである。
とにかくまず勇気を出してとにかく自分一人の力で立ってみることだ。
では、会社を辞めずに、どこでどういう風に自分の脚で立つのか?
それは、この連載で述べてきたように、グローバルな個人間のネットワーク(紐帯)の上に自らの信用を築く、ということだ。
第4回「世界は三層構造でできている」で述べたように、未来の世界は違うシステムで動いている。
もはや国家は絶対ではない。グローバル企業の存在感は国家をしのぐものだし、目には見えない個人間のネットワークは国籍も組織も超えて脳細胞のように複雑に絡み合って増殖し続けている。