今後、「国家」が発行する現在の“貨幣”の地位は下がり、「個人」の発行する“信用”が重視される世界になる。社会は、急速に「資本主義」から「信用主義」へとシフトする。

 貨幣の信用が、金融政策や財政対策という名の下、揺らいで久しい。国家はお金に手を加えすぎた。すでに貨幣のモラルは崩壊している。

 一方で、ネットワークの発達と、個人の信用の可視化によって、個人や組織が、自分達の信用にもとづいて独自の貨幣を発行したり、貨幣をショートカットして、信用をもとにネットで直接、物々交換を行うことが盛んになる。貨幣経済は絶対的ではなくなる。

 だからこそ胴元である、「信用」創造に注力せよ、と述べた。 

 無論、無理に会社を辞める必要はない。個人間のネットワークの上に新たなアイデンティティを築くのだ。それが21世紀の究極のセーフティネットになる。

 意識する・しないに関わらず、あと10年は「信用の保全」が個人の生活の最大のイシューとなるだろう。信用は、お金と違って利子のように置いておくだけでは増えていかないからメンテナンスが必要になる。

 つまり、人間関係のメンテナンスである。今後のソーシャルネットワークの目的は、人間関係のメンテナンスが主になるだろう。そしてそのためのリテラシーを養う必要がある。

理想は、個人の創造の可能性に
適切なエネルギーが供給される社会

 事業の引き継ぎを終えて、倒れ込むように浪人生活に突入した僕は、東京のマンションを解約し実家のある田舎に戻った。

 1カ月間は、死んだように眠ったが、2カ月目には農業と弓道を始め、3カ月目にイギリス留学を決めた。