この世の中に「完成された仕事」はない
このとき、私は知りました。与えられた仕事をこなすだけでは面白くない。自ら見出した課題にチャレンジするからこそ、仕事は面白くなるのだ、と。
しかも、できることなら「前向き」なことがいい。何かを生み出すこと、新しい価値をつくり出すこと、想像するだけでもワクワクするようなこと……。そんな仕事には仲間も共感を寄せてくれる。そして、みんなで力を合わせて課題に取り組んでいくプロセスこそが面白いのです。
だから、これ以降、私は、どこに配属になっても、どんな職位についても、常に仕事を面白くしようとしてきました。与えられた課題を解決するだけではなく、「前向き」な課題を見つけ出して、次々とチャレンジしてきたのです。
この世の中には、「完成された仕事」というものはありません。どんなに完成されたように見える業務システムが構築されている職場であっても、必ず、改善できること、新しくできることはあります。それを見つけて、上司に提言する。それが魅力的な提言であれば、必ず、周囲の人が「俺も」「私も」と力を貸してくれるようになります。みんな「面白い」ことがしたいのです。
しかも、会社というものは、実に“よくできた場所”です。誤解を恐れず言えば、上司にハンコさえ押してもらえば、その時点で「無罪確定」だからです。もしもチャレンジに失敗しても、それはハンコを押した上司の責任。適時的確に上司に報告・連絡・相談しながら、精いっぱい努力を尽くしたのならば、提案した本人の責任が問われることはないのです。