なぜイスラエルが自動車関連企業に
注目されるのか?

 イスラエルが自動車関連企業に注目される大きな要因の1つは、冒頭にあげたスタートアップ企業を取り巻く会社設立からイグジットを含んだエコシステムが確立され、新陳代謝が活発なことであろう。

 自動運転関連技術に必要とされる技術は、従来イスラエルが得意としてきた領域である。セキュリティ、ソフトウェア、センサー(画像認識、音声認識)、半導体などでは、世界的に優位性が高い領域もある。ただ、こうした技術は世界各国で研究・開発が進められているであろう。ただし、こうした技術を基にしたスタートアップが次々起こり、買収される、エコシステムと連動した地域は、シリコンバレーを除き、イスラエルをおいて世界にない。「国」という点ではイスラエルだけであろう。

 また、スタートアップの領域は、自動車という枠にとどまることがない。イスラエルが得意とするドローンで、空の領域にも広がり、自動車ではなく、モビリティ(移動性、流動性)が通称となっている。当然、人工知能(AI)、IoT (Internet Of Things)の領域でも外せないテーマとなってくるだろう。

 前回紹介した、車両やドライバーに関するデータ交換プラットフォームのオトノモ(Otonomo)社や、空のナビゲーション・プラットフォームを目論むフライトレックス(Flytrex)社なども、先に挙げた確かな技術ベースがあるから、他社優位性があり、実現可能になる。