東京モーターショーはもともと世界のショーの中でも独自のポジションにあった。欧州フランクフルトや北米デトロイトのようなビジネスショーでもなければ、ASEANのタイ、中国の広州のように会場でクルマの商談が行われる販売ショーでもない。

 クルマというコンテンツで来場者を楽しませるという、ありそうで他にないショーだったのだ。

 出品をとりやめる海外自動車メーカーが続出し、北京、上海など中国のモーターショーに存在感を奪われる中、自工会はこのところ、日本の技術開発力を誇示するハイテクショーにすることで東京モーターショーの威厳を回復させようとした。

「ハイテクショー」というのは
身の程知らず

 完成検査にまつわる不祥事で活動を自粛する前まで東京モーターショーの顔役を務めた西川廣人・自工会会長は、「量より質。各社の先端技術を持ち寄り、存在感のある世界一のハイテクショーにしていきたい」と語っていた。

 実は東京モーターショーのハイテクショー化の試みは今に始まったことではない。存在感を急速に落としはじめた2009年以降、自工会はずっと同じようなことを言ってきた。そして、毎回失敗していた。

 まず、グローバル化が進み、日本勢もワールドワイドで企業活動を行っているという状況の中、シリコンバレーを擁するアメリカ、スタートアップ企業が次から次へと生まれる中国、年間1700万台の消費地であるEUなどを差し置いて、東京が他を圧倒するハイテクショーになれると考えるのが身の程知らずもいいところである。

 それだけではない。先端技術をエンドユーザーに「面白い」と感じてもらうのは、実はとても難しい。

 例えば、自動車業界で話題となっているビッグデータへの接続技術、コネクテッドひとつとっても、当の自動車メーカーが何をやれば素敵な未来を築けるかということについて、確固たるイメージを持てていないのだ。