日本の文房具店で色とりどりのポチ袋や祝儀袋が売られていることは、私たちにとって普通だが、それを見た中国人の友人が「なんでこんなにたくさんの種類が必要なの?」と目を丸くして驚いていたことがある。

 お金は大事なものであり、家族や自分が懸命に働いて得た貴重なもの。そのお金はきれいなポチ袋に入れて(ポチ袋が手元になければ、封筒でも探して)相手に手渡したいという気持ちがあるが、中国では結婚式のお祝いやお年玉などを入れる赤い袋はあるものの、普段の生活では、そういったものはあまり使用しない。

 お金はあくまでもモノとの交換手段でしかない。

 だから、むき出しで持ち歩いたり、粗雑に扱ったりする。そのまま誰かにお金を手渡すことにも抵抗がない。ここが日本人との大きな違いだ。

 思い出したのは、90年代初頭まで、中国にあった「糧票」(リャンピァオ)という食糧配給切符。計画経済体制下で、コメや小麦粉などを入手する際に必要で、各家庭に配布されていたものだ。

 私も留学時代、これを知人に分けてもらってお菓子を買った懐かしい経験がある。今の中国の若者に言ってもこんな昔話は通じないが、この食糧配給切符こそ、まさにモノとの交換手段でしかなかった。そうした意識が現在まで中国人の中に少し残っているのかもしれない。

紙幣が財布とともに
消える運命になりつつある中国

 このように、お金を粗雑に扱うことに慣れているせいか、10年以上前まで、中国で店員からお釣りを「ポイッ」と投げ返されて、ビックリしたことがある日本人は多いのではないだろうか。