物事が計画通り進まなくても
計画がうまくいかなかったとは限らない
多くの人は、自分の人生は自分でコントロールできると考えています。
だからこそ、仕事や勉強、趣味や恋愛など人生のあらゆる場面において綿密な計画を立て、それを実現しようとします。
私は、人間が生きていくうえで、自分でコントロールできる部分は限られているのではないかと考えています。もちろん自分の思い通りにいくこともありますが、多くのことは実は自分の力で何とも変えがたいものです。
必ずしも自分でコントロールできないのが人生だと認識しておけば、仮に計画したことが予想通りに進展しなくても、こころにストレスを感じることが少なくなるはずです。
そもそも「計画通りに進まないこと」と、「うまくいかないこと」は別の次元の問題であるように思います。
あることが、計画通りに進まなかったとします。計画通りに進まなかったのは事実かもしれませんが、果たして本当にそれがうまくいかなかったのでしょうか。
多くの人は、計画がうまくいかなかったと判断するのが早すぎるような気がしてなりません。本当にその計画がうまくいかなかったのか、その答えはすぐにはわからないのではないかと思うのです。
私の診察室を訪れていたある女性が、旦那さんと離婚すると言い出しました。
聞くと、その女性の症状が一向に改善しないため、旦那さんとしては一緒に暮らすことに疲れてしまったというのです。
確かに、女性の病状は一進一退を繰り返していました。
ただ、ほとんど家庭内別居に近いかたちで、もう少し協力してくれてもいいのではないかと私が感じてしまうほど、旦那さんの対応は冷たいものだったといいます。
とはいえ、女性には自分の病状が改善しないことに対する負い目があるので、離婚はやむを得ないと諦めていました。