「アラ90」ブームの理由
「普通に○○する」ということが難しい世の中になっています。
例えば、以前にも取り上げたことですが、普通に「働く」。こうした生きていくためのシンプルな人間の営みさえ、なかなか思うようにはならない。
厳しい就職難の時代、やりがいや自分らしさ、人のつながりが感じられないような仕事に就かざるをえないケースもままあります。自己肯定感を得られないまま、仕事を辞めてしまう人も多い。「誰の役にも立ってないんじゃ、何のために生きているかわからない」。そんな思いを抱え、診療所に駆け込んでくる人たちも少なくありません。
また、「普通にやりたいことをやる」ことさえ難しくなっているようです。周囲の学生を見ていてもそう。例えば、FacebookなどのSNSで自分の行動を報告する自体が目的化してしまっているようなケース。「いいね!」といってもらえない生活なんてつまらない。そう感じているようにも見えます。
そこで、自分をアピールできるようなイベントを考えて実践したりする。SNSで自分の行動が支配されてしまうような状況に陥るわけです。
なんだか、ややこしい世の中です。いつの間にこうなっちゃったんだろう。つくづく考えてしまいます。
ところが、一方できわめて普通に生きているように見える人たちがいます。誰か? それは、80~90代、もしくは100歳超えの高齢者たちです。しかも、こうした生き方が幅広い年齢層の共感を呼び、脚光を浴びつつあるのです。