そして同社の“本丸”である伊勢丹新宿本店では、今後、不振の衣料品フロアを縮小し、化粧品や雑貨の売り場を拡大する。さらに、インターネットを通じて商品情報を発信し、「伊勢丹新宿本店の商品を、地方客にネット通販で買っていただく」(杉江社長)ことを目指すという。ただ、過去に伊勢丹新宿本店で好調だった高価な商品を地方の店舗でそのまま販売したところ、客層の違いから売れなかった経緯もあり、そう簡単ではないだろう。

リアル店舗の強化が先決

 一方、成長戦略の柱として掲げたのが、事業のデジタル化だ。カード会員や得意先の顧客情報を一元化し、顧客の特性に応じた広告の配信、ハイエンド客向けのネット通販や宅配サービス、さらには取引先との商品の在庫情報の共有などに取り組むという。

 ただ、在庫情報については、これらの取り組みを進めても、仕入れた全商品を把握するまでには至らず、単品管理が可能になるわけではない。ネット通販では、“巨人”アマゾンをはじめ競合する企業は多く、戦いは極めて熾烈だ。単品管理もできないで戦えるような市場ではない。

「ネット通販で集客するためには、リアル店舗の充実が不可欠」(アパレル大手幹部)といわれる。三越伊勢丹HDには幸い、基幹3店という拠点が残っている。デジタル化の推進を生かすためにも、まずは、基幹3店の強みにさらに磨きをかけることが先決ではないだろうか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)