スポーツ紙を読むと、3失点で完投しながら打線が2点しか奪えなかった、つまり「2対3」で負けた試合で、その投手がこうコメントしているのを目にするはずだ。
「負けたのは悔しいですが、自分の仕事はできたと思っています。次も頑張ります」
私はその記事にポツリとつぶやく。
「先発投手が黒星を喫したら、仕事をしたことにはならないだろうに」
そもそも、チームスポーツで「仕事をした」と言えるのは、チームが勝った時だけである。
20対19という大乱戦でも、この試合に先発し、5回を10失点で白星を得た投手は、内容は最悪だが仕事はしているのである。しかし、0対1で完投しながら負けた投手は、厳しいようだが仕事をできていないのだ。
一般社会において、あと一歩で契約を取れなかった社員が「自分の仕事はしました」と胸を張るだろうか。前回からの成長ぶり、その仕事にベストを尽くせたかどうかの評価は別の次元の話であり、契約を取れなければ仕事をしたとは言えない。それと同じことだ。