私のように考えると、さぞかしドラゴンズの投手陣は大変だろうと思われるだろう。仕方がない。野球の勝敗の80%は投手が握っていると言われるように、投手は守りの中で唯一、ボールを投げることで「攻撃できる」役割なのだし、投手が投げることで試合が動くという性質上、野手はどうしても受け身の立場だからだ。

 しかも、投手が自分の手でボールを投げられるのに対して、野手はバットという道具を使って打ち返さなければならない。自分のコンディションに加え、バットも上手く使いこなせなければ結果を残せないのだから、チームで勝つという唯一最大の目標を達成するためには、パフォーマンスをある程度計算できる、投手を中心に試合運びを考えざるを得ない。

 ここでも大事なのは、原則だ。

 負けない努力が勝ちにつながる。この考えだ。

 その1勝をつかむために、誰を信頼し、誰を中心に戦っていくのか。ここがブレてしまっては、チームワークも、選手の目指す方向性もおかしくなってしまう。これは皆さんの仕事でも同じだと思う。とりわけ厳しい時代においては、この考えはしっくりくるのではないだろうか。


 

――明日は最終回、「こんなリーダーを目指してほしい」という落合博満氏からのメッセージです。(連載全4回、まとめ記事作成・編集部)

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