英語の会議では質問しろ
早めの発言が流れを変える

 そしてもうひとつ、その後の半年間の研修でも衝撃を受ける。一緒に行った日本人社員は、梅田氏より英語ができなかった。ところが、コミュニケーション能力は彼のほうが高かったのである。

「一対一なら別ですが、たくさん人数がいると、日本人は何の議論をしているのかと聞き耳を立てているうちに会議は終わってしまうんです。静かな日本人として(笑)。ところが、一緒に行った同僚は最初に質問してしまう。英語もできないし、よくわかっていないのに、さっと手を挙げて。怪しい英語なんですが、それでもその会議は彼を中心に回るんですね。彼に理解しやすいように会議が進む。だから今も若い社員には言っています。英語での会議は早めに発言しろ、と。それだけでまわりも自分も、姿勢が変わるんです。それこそ最後まで黙っていたら、よほど立派な意見しか言いにくくなりますから」

 TOEICをベンチマークにしつつも、梅田氏は勉強の仕方そのものを変えていく。今は、これなら生まれて初めて勉強しても3年や5年でだいぶうまくなる、という方法を知った。

「ひとつは、シャドーイング。知らない単語や言い回しをテキストで見ながら確認する。これを繰り返す。最後は耳で聞きながら自分でしゃべる。そうすると、いつの間にか何かが残っていて、あるとき気がついたら、あれ、こんな表現を自分でしていた、ということになる。もうひとつは、ディクテーション。これは私はやっていませんが、社内の留学試験などで忙しい中、成績を上げてくる社員がよく使っているようです。聞いて、書き取る。そうすると、実はわかっていなかったことに気づける。両方とも、どんな英語の教科書にも書いてありますけどね」

 そして勉強の極意は極めてシンプルである。

「ちゃんと集中すること。どんな場所でも。そのためには、何か自分の好きなことをあきらめることです。私の場合は、文学を読む時間をあきらめました。その時間を英語に充てた。でも、何かを切り捨てるから、出てくる意欲もあるんです」

 


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