英語はまるでダメだった
外資系製薬企業トップの意外な告白

ファイザー株式会社 代表取締役社長 梅田一郎氏

 外資系企業のトップのイメージは、といえば、真っ先に浮かぶのは、英語をスマートに使いこなしている姿、かもしれない。例えば、本社の外国人幹部たちと堂々と対峙しているシーンである。そこからは、もしかすると必死になって英語学習に立ち向かったのではないか、というイメージはあまり浮かんでこない。

 実際、外資系トップには、かつて海外に住んでいたという人や、海外に留学していたという人も少なくない。その過程で、かなりの英語力を身につけていた。だが、これは今回の取材で驚かされたことだったのだが、まったくそんな経験を持ち合わせていなかった人も少なからずいた。会社に勤務し始めてから、苦労に苦労を重ねて英語をマスターした、というのだ。世界最大の製薬会社、ファイザーの日本法人社長、梅田一郎氏もその1人である。

 取材は東京・新宿にあるファイザー本社で行われた。社長室のすぐ隣にある広々とした応接室に現れたのは、がっちりと引き締まった体格を持った紳士だった。大学時代は、重量挙げ部に所属していたという。これは外資系トップに共通することだが、みなさん年齢よりも若々しい人が多い。

 ファイザーの梅田氏は59歳。日本で6000人規模の組織を率いている人物である。だが、梅田氏のフランクな雰囲気から、取材はなごやかに始まった。堅苦しさはみじんもない。冗談もたくさん交えて、笑いの絶えないインタビューとなった。

 そして梅田氏、もともと英語はまるでダメだったのだ、と意外な話を語り始めたのである。

「私は小学校6年生のときに、英語をあきらめたんですよ(笑)。母親に無理矢理、塾に行かされて、苦手意識を持ってしまって。それ以降、中学でも高校でも大嫌いで過ごしてしまった」

 20代でのファイザーへの入社時も、それは変わっていなかったという。だが、かつてはローカル中心でオペレーションされていたファイザーでは、それほど英語力が求められる機会はなかった。ところが次第に変わり始める。梅田氏が英語の勉強を本格化させたのは、30代後半。以降の苦労は、これまた意外なことに、今、多くの人が味わっているものと同じものだったようだ。