ところがある日、社長の書いたとおりに見積書を打ち出すと、それを見て社長が怒り出したのです。「この数字、違っているぞ!」と。私は「社長の書かれたとおりですが……」と答えました。間違ったのは社長なわけですから……。すると、社長はこう言いました。
「この大きさのバスで、この人数だったら、この数字はおかしいと思わなくちゃダメだ。ただ言われたことやるんじゃなく、自分が行くつもりになって書類をつくらなくちゃ」。
そう言われて、私はハッと目が醒めました。いままで、そういう視点で仕事をしていなかったからです。それ以降は、見積りの書類をつくるときも、自分がその旅行に行くつもりになってつくるようにしました。
すると、「いまはハイシーズンだから、料金が上がるな」とか、「ここのホテルは、相場に比べて割高だな。少しデラックスなのかな」と、イメージが膨らむようになり、書類をつくる作業が楽しくなってきました。視野を広げたら、仕事がおもしろくなったのです。
マイナスの視点をプラスに変える
2つ目は「視点を移動して見る」。鳥瞰的に見ることも大事ですが、現状を打破するには、視点を少し移動してみることも効果があります。
たとえば、上司から「明日までに、コレとアレをやっておいて。急ぎで!」と無理な仕事を振られたりしたとき、多くの人は「なんだって? そんなの自分のキャパじゃ無理だよ」と思うはず。つまり、そのことを「問題」ととらえているのですね。
しかし、少し視点をずらし、これを「自分にとってプラスかも」という見方をすると、
「無理なリクエスト⇒自分のキャパを広げるチャンス」
と見ることもできるはずです。もちろん、いままでのやり方では無理なわけですから、新しいやり方を考えなくてはいけません。でも、実はこういうときこそ、あなたの中でいままで眠っていた潜在能力と創造力が働き出すのです。あなたの頭はフル回転し、なんとか締切りまでに仕事が終わります。そのときのあなたは、確実にレベルアップしています。このように、目の前の課題をどうとらえるかで、本人のやる気も変わってくるのです。