YMV副代表格でパイプ曲げ加工のミナミ技研社長、南川拓也(41歳)は「これまで頼まれてサローネ出展用の作品をつくったことはありますが、製造者の役割が大きいわりにはデザイナーほどフォーカスされない不満がありました。デザイナーともお互いにパートナーとしてものづくりをしたいと思っていたのです」と語る。

 2016年4月には藤澤、南川、そして精密切削加工の関東精密社長である杉田勇(43歳)ら4名でミラノサローネを見学に行った。

「その規模の大きさに圧倒されました。つくり方がわからないような製品もあり、我々がこのレベルまで追いつけるのか不安でした」と南川。杉田は「会場によってはレベルが低いものもあり、良質なものとのギャップがあるなという印象でした」と語る。

 翌5月にYMVに加わったプレス・板金などを行う三陽製作所の後継者である水村隆(30歳)は「父の経営する会社に入社したばかりだったのですが、YMVの社長たちは下請け体質から脱して世界に飛び出そうとしているので驚きました」と語る。

目標はミラノサローネ、
テーマは「フラワーメタル」

各社の技術を持ち寄って完成した「ブーケット・ブローチ」

 その後、メンバーが増え10社となり、デザイン会社イドのデザイナー2名を加えたメンバーが月1回集まり、どんなテーマで作品をつくるか検討を続けていた。「2人のデザイナーは有名デザイン会社から独立してイドという会社を設立したばかりで、我々の活動に賛同してくれました。ぶつかり合いもありましたが、いいパートナーに巡り会えた思います」と南川。

 ほぼ1年かけて、最終的にテーマを「フラワーメタル」とした。金属のみを使った花器を制作することにしたのだ。それが2016年9月だった。翌年4月に開かれるミラノサローネまで半年ほどしかない。

 具体的に12作品のデザイン案を固め、各作品に制作責任者を置いた。1作品をつくるのにメンバー各社の得意技術を活かし、複数の企業が関わる体制を取った。1社単独でつくったのは「ブーケット・ブローチ」だけで、他の作品では4~5社が関わったものもある。