株式会社といっても株式会社商工組合中央金庫法に基づく特殊会社なのだが、同法第1条に「その完全民営化の実現に向けて経営の自主性を確保しつつ、中小企業等協同組合その他主として中小規模の事業者を構成員とする団体及びその構成員に対する金融の円滑化を図るために必要な業務を営むことを目的とする株式会社とする。」と規定されているとおり、将来的には完全な民営化が予定されている。

政策金融改革における商工中金の取り扱いと
今回の不祥事の概要

 商工中金の株式会社化・民営化は、小泉政権下で全ての政策金融機関を対象に進められた政策金融改革を通じて決定されたものである。

 株式会社化前の商工中金はいわゆる特殊法人等に分類されており、平成9年の特殊法人等整理合理化計画で、自立化や追加政府出資は行わないこととされ、民営化に向けた方向性が示されていたが、平成17年の政策金融改革の基本方針では完全に民営化することが決定された。

 具体的な機能の在り方や完全民営化に向けた工程については、平成18年の政策金融改革に係る制度設計で規定されたが、その中に、商工中金は金融危機や自然災害等で中小企業が危機に陥った時に融資する、危機対応業務を行う指定金融機関となることが盛り込まれた。

 今回の商工中金の不祥事は、この危機対応業務に関して行われたものとされている。

 具体的には、本来ならば、金融危機や自然災害等の緊急時、危機の際(リーマンショックや東日本大震災等)に、経営状態、財務状態が悪化した中小企業に対して低利で融資を行う危機対応業務を、あろうことか、この仕組みの対象とならない優良な中小企業に対して、財務関係資料等を改竄してまで無理やり融資を行っていたのである。危機対応業務の実績を積み上げるためで、国内100支店中97店舗と、ほぼ全店舗で行っていた。

 この危機対応業務とは、株式会社日本政策金融公庫法(以下、日本公庫法)第2条第5号で「特定資金の貸付け、特定資金に係る手形の割引、債務の保証若しくは手形の引受け、特定資金の調達のために発行される社債の応募その他の方法による取得又は特定資金に係る貸付債権の全部若しくは一部の譲受け(以下、特定資金の貸付け等)のうち、公庫からの信用の供与を受けて行うもの」と定義づけられている。