3.11に東日本を襲った大震災と95年に起こった阪神・淡路大震災。そのうちの16年前の被災地だった神戸市で、『2つの「あの日」が揺らしたもの――大震災が問うひきこもり問題』というテーマのトークイベントが11月27日に行われた。このイベントを催してくれたのが、姫路市のNPO法人「グローバル・シップスこうべ」だ。
同団体は、引きこもりや不登校を経験した人たちが交流して情報を社会に発信しようという、当事者が主体のグループ。自らも社会に出るのが怖かったという経験を活かし、同団体を立ち上げた代表の森下徹さん(44歳)に、今回のイベントに関わった経緯や、その後の“変化”について聞いた。
人に迷惑をかけたくない、社会が怖い
「ジュリアナ」「就活」にも行けなかった大学時代
「やっぱりイベントが好きなんです。いろんな人との出会いの場となって、つながれますから…」
森下さんは、開催の理由をこう明かす。
「僕は震災を体験していない。だから、何かできないかなと企画したんです。実際、東北の被災地にも行って、自分の目で見て、感じてみたくなりました」
森下さんが、理工系の大学を5年かけて卒業したのは、バブルの崩壊した1993年。
「数学、理科、国語は得意なんですが、英語と社会は苦手でした。記憶力が抜群に悪いんです」
学生時代、世の中は「ジュリアナ」などに狂乱していた。しかし、森下さんは「ジュリアナ」にも「就職活動」にも行くことができなかった。
「小さい頃から、強迫神経症があって、就職活動は最初から、自信がなかったんですね。社会が怖かった。何か、他人に迷惑をかけるんじゃないかと…。社会って、情け容赦なく弱い所を突いてくるような構図があると思うんですね」