経営 X 人事

優秀な若手が退職を考え始めたとき、キャリアコンサルタントはどうすべきか?

◆考察(事例から見えたこと、考えたこと)

 若手社員が目の前の困難にぶつかり、すぐに退職を考える。そんな場面で、冷静に考えてもらい、内省するきっかけを提供することができた。

 上司や人事担当者にも、職場で起きていることをしっかり見て、話を聴いて、手を打つことの大事さに気づいてもらえた。

 また、一連のやりとりから、採用や配属、異動、評価について、制度上考えるべき点がないか検討してもらうきっかけになった。

【面談3回目(後日談)】

 Aさんが報告に顔を見せてくれた。

 「先日、友だちから“元の明るさを取り戻した”と言われ、両親からも“最近は思ったことをはっきり言うようになったね”と褒められました」

 そんな場で「君が言う社会貢献ができる部署ってどんなところなんだろう?」という問いかけをして、「まずは目の前の仕事をしっかりやってから“社会貢献”で自分には何ができるか考えてみます。仕事でもプライベートでも、これまであまり真剣に考えてきていなかった気がします」との回答を得た。

【事例まとめ】

 企業では、部下を教えて育てること、そして自ら考え、行動できるようにすることが大事だと言われます。

 しかし、日々多忙な職場では、夢中になって目の前の業務をこなすこととじっくり考えることのバランスが崩れることがあります。

 そんな時に、この事例のように、「仕事」「上司」「会社」が嫌だとか、合っていないとか思ってしまう若手社員に「企業内キャリアコンサルタント」は気づくきっかけを与えるのです。

注)本事例は実態に基づいたものですが、特定の個人のものではありません。

(浅川キャリア研究所所長 浅川正健)

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「企業内キャリアコンサルティング」入門

2016年4月より国家資格となったキャリアコンサルタント。厚生労働省は企業内にキャリアコンサルタントを置き、従業員のキャリア支援を促進することを唱道している。本連載は、他社に先駆けて2001年に伊藤忠商事でキャリアカウンセリング室を創設して初代室長となり、退職後もライフワークとして「企業内キャリアコンサルティング」の普及に努めている浅川正健氏が、キャリアコンサルティングの望ましいあり方と、実際のコンサルティング事例を解説する。

「「企業内キャリアコンサルティング」入門」

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