これは、スムースな政策立案を行うために排除してきた党内の増税反対派を、今後はあえて議論に加え、「増税」の必要性で党内の意思統一を図っていくのが狙いだ。だが、現在のところ、党税調は増税反対派が跋扈する場となっている。また、社会保障分野の改革でも、国民負担増となる改革は先送りになり、年金をもらうのに必要な受給資格期間の短縮など、低所得者向け支援策が多く盛り込まれる流れになっている。日本では、法改正が必要な組織改革だけではなく、即座に実施できる改革でさえ、中途半端となっている。

野田首相が重要課題実現のために
やるべきこと

 要するに、日本では重要課題を実現するために、与党事前審査と国会の高いハードルを越えて、法律を成立させなければならない。また、改革をトップダウンで迅速に実現するための組織改革も、法律の制定が必要である。その上、法改正が必要ないものでさえ、改革が中途半端に終わっている。

 野田首相は「安全運転」「融和」に徹する姿勢を崩していない。増税やTPPは、あくまで官僚・党による意思決定の手続きを守って政策立案していくスタンスだ。これは野田首相を支える財務省の好むやり方でもある。

 だが、格付会社の評価に見られるように、その意思決定手続きそのものが、信頼されていない側面がある。野田首相は手続きを守って「安全運転」するだけではなく、重要課題実現のために柔軟にありとあらゆることを試みるべきだ。積極的に「理論武装」「世論形成」を行う場を作るべきだし、自民党の政策通の協力を得られるならば、休止している「経済財政諮問会議」を復活するような、大胆なことも考えていいのではないだろうか。