料理にも人生にも“食べごろ”がある
ともすれば今は、リスクが嫌われる時代です。誰もが最大公約数を気にして、リスクには近づこうともしない。何もしさえしなければリスクには直面しない、と考える若い人もいます。
しかし、それは大間違い。
むしろ若い時期だからこそ、リスクが取れるのです。ハイリスク・ハイリターンに挑めるのです。40代、50代になってしまったら、もうリスクは取れなくなる。
年齢を経るたび、リスクの怖さは数十倍にもなってのしかかってくる。そのときの恐怖のほうが、僕はよほど怖いと思います。
よく「煮込めば煮込むほどおいしい」なんて言いますが、それはもののたとえ。どんな料理だって、煮込みすぎてしまってはまずくなる。料理にも人生にも“食べごろ”があります。
僕がこの世界に入ったのは、20歳のときに、あるテレビ番組の企画に応募したことがきっかけでした。
その1枚のハガキを書いたとき、僕には「根拠なき自信」しかありませんでした。考えすぎていたら、絶対にハガキを送ることはなかったでしょう。
「この企画は自分のために用意されたものだ」「全国には自分より面白い人間はひとりもいないはず」と思ってポストに投函しました。
今考えてみると、若気の至りです(笑)。しかし、あのときハガキを出していなかったら、どうなっていたのでしょう。それは誰にもわかりませんが、きっとこうして本を出して、みなさんに読んでもらえることもなかったのではないかと思うのです。