現代の「評価型社会」は
自信のない人たちを生み出した

「脱力的な生き方は、現代社会ではむずかしい」と断言するのは、『創造的脱力』の著者で慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授の若新雄純氏だ。そこには現代特有の“評価にこだわる生き方”が関係しているという。

「現代の日本人は『評価重視の社会』を生きているため、自分の評価や社会的価値が定まっていない状態は堪えられません。例えば『食べログ』で、星もレビューもついていない評価なしのお店と、星2.9のお店があったら、2.9が高くない数字だとしても、後者を選ぶほうが安心感がありませんか?もしかしたら、前者は評価がついてないだけで、すごく美味しい可能性もある、でもなんとなく、すでに誰かに評価されているほうが安心できる。僕たちは価値が明確化されている状態が好きなんですよ」

 ネットにより、あらゆるものに点数やレビュー、ランキングがつけられ可視化されるのが当たり前になった。評価の高いものを買っておけば安心だし、悪いレビューがついていれば敬遠する。

「誰かの評価が自分の行動を決めるのは、そのほうが損が少ない方法だから。でも脱力的なライフスタイルは、他者からの評価が見えない怖さがある」

 確かに、芸能界だからこそ奥田民生は輝いたが、一般社会だったら批判されることも少なからずあったかもしれない。多くの現代人は “評価するのは大好きだが、されるのは大嫌い”なので、無難な評価に落ち着くように画一的な生き方にならざるを得ないのではないか、と若新氏は語る。その根底には、多くの人が抱える自信のなさが背景にあるようだ。