どうやら、子どもたちから相談を受けたスタッフが「こうやったらきっと社長に伝わるよ」と一緒に考えてビデオを作っているようなので、ついOKを出してしまうのです。

 実は、スタッフは子どもたちにコミットしている。彼らの相談に乗って何かを約束したからには、「絶対に頑張らないと」と思っています。「あの子と約束したからには、その約束は破れない」と心から思っていて、それがモチベーションにつながっています。

子どもが本気だから
スタッフも自分ごとに

 そもそも、社長が社員に「何とかしなさい。頑張れ」と言っても、社員は「嫌だな」と受け止めるでしょうし、どうしても「ひとごと」に感じてしまいがちです。

 ですが、それが例えば「仲間」との約束だったら、まずは「約束を守ろう」としますよね。つまり、仕事を「自分ごと」にして取り組むことができる。

 何といっても、子どもたちが本気です。冷やかしに来る人と本気でコミットする人を一瞬で見分ける。ありがたいことにプロの人が「何か手伝いましょうか」と訪ねてきても、「いや、要りません」と子どもが面と向かって言ってしまうことがあります。

 大人たちは落ち込みながらも、「子どもたちが本気なのに、こっちも本気じゃないと駄目ですよね」と分かってくれます。コミットしないと仲間にすら入れない仕組みができているのです。

 その代わり、僕はメンタリングに細心の注意を払っています。悩みがありそうなスタッフを見たら、「何かあるの」と声掛けをするようにしています。今は、スタッフが頑張り過ぎているのが心配で、「短距離走ではなくマラソンなのだから、もう少しペースを落としなさい」と言っているぐらいです。

 もうお気付きかもしれませんが、実はこのやり方には、スタートアップの支援と同じ手法を取り入れています。スタートアップに対して、僕でも「君たちね、こういうふうにしなさい。そうすれば成功するから」とは言えません。

 彼らの方がその分野については専門家なのです。僕らができるのは、彼らが困っていて、悩んでいるときの話し相手になること。アドバイスを求められても「ちょっと違うかな」や「ありだね、いいね」とか、「自信を持ってやればいい」などと言うぐらいです。

 支援する対象が大人か子どもかの違いがあるだけで、僕たちはスタートアップへの支援をし続けています。だからこそ、学校の先生たちにはなかなかまねできないのではないかと感じています。

構成/本誌・小島健志