後に、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の制度が、国交省所管の法律でありながら、厚労省との共同所管となる下地が作られたわけだ。この報告書では「高齢者専用賃貸住宅・高齢者優良賃貸住宅と有料老人ホームとの関係を分かり易く整理する必要があるのではないか」と問題提起している。

 また、地域包括ケアの圏域を「30分以内で駆け付けられる中学校圏域」とし、「大規模集約型や隔離型の施設から、地域生活に密着した施設への転換」「自助・互助・共助・公助の役割分担」「地域住民による見守り」などが提起された。

 なかでも「互助」が要注意だ。「家族・親族等、地域の人々、友人たち等」の助け合いのことである。「共助」である介護保険サービスを「補完するものではなく、むしろ人生と生活の質を豊かにするもの」と積極的に評価する。後の「新しい総合事業」につながる「軽度者の脱介護保険化」への布石ともいえ、興味深い。

 翌年3月の第2回報告書では、「在宅サービスが優先であって、施設サービスは補完的なもの」「在宅での生活継続がどうしても困難な場合にはじめて施設を利用するというのが原則」「施設を一元化して最終的に住宅として位置づけ」と施設の限界をはっきりと書き込んでいる。

「施設から在宅」への転換を謳う画期的な切り込みようだ。「在宅重視」は介護保険のスタート時のうたい文句ではあったが、「施設は補完的」「施設は住宅に」と明言したのは初めてだ。

 そのうえで、「多数の職員を抱える従来型施設とは異なり軽装備の多様な住宅を前提に」して、「地域の医療や介護などのさまざまなサービスを利用者の状態に合わせて組み合わせ」、それも「24時間365日体制で」構築するのが地域包括ケアだとする。サービスはあくまで「外部から提供」と断言する。

 福祉先進国の北欧諸国が始めていた「脱施設」「集合住宅への転換」と同様の道筋を高らかに宣言している。