「スペンド・シフト」については当連載の第48回(下記)で詳しく取り上げたので参照してほしい。

■第48回:「自分のための消費」から、「誰かのための消費」へ。 この2年で様変わりした、世界の消費スタイル

CSRを企業戦略の「中核」に置く

 さて、上記マイケル・ポーター論文の優れた点は、共通価値をキーワードにして、「企業はなぜ、CSRをやらなければならないのか?」という議論に対して終止符を打ったことだ。社会貢献やCSRをやらなければ企業は成長しない。やれば成長する。そのことを明確に理論化した。

 今回の欧州委員会の政策文書で「CSVを最大化すること」をひとつの目標として掲げているのも、CSRが企業を成長させ、欧州経済の危機的状況の打破として有効な戦略であるという理解ゆえのことである。

 ちなみに、マイケル・ポーターはCSRに対しては否定的だ。その理由は、現実のCSRが企業戦略の「中核」に据えられていないからだ。欧州委員会文書ではこの点も留意して、CSRを企業戦略の中核に組み込むよう促している。

 以上、企業は「成長戦略としてのCSR」に真剣に取り組まなければならないことの理論と裏付けデータが出揃った。あとは実践あるのみである。

 幸か不幸か、世界でも日本でも、このような視点でCSRに取り組んでいる企業はまだまだ少ないので今年から始めても十分間に合う。しかし、今年始めなければ10年後の未来はないだろう。企業を成長させ、自分も成長するために、すべてのビジネスパーソンはCSRに取り組んでほしい。


【筆者からのお知らせ】

「成長戦略としてのCSR」を実践する企画力を養うための「CSR道場」を開設します。セミナーや講演会でいくら理論や事例を学んでも、それだけでは実践力は身に付きません。ビデオや本で空手の型を学んでも、道場で鍛練しなければ強くなれないのと一緒です。

「CSR道場」では、CSRの最新理論、事例を学んでいただくと同時に、マーケティング力、企画能力のアップを目指します。ビジネス力とはつまるところ、「企画の力」だからです。

■CSR道場
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