今回の社会保障・税一体改革は年金制度改革に関し、2段階の工程が想定されている。第2段階は、全く新たな年金制度の創設である。政府・与党の念頭にあるのはスウェーデン型の年金制度と見えるが、そのまま日本に移入するには大きな障害が立ちはだかっている。

政府・与党が提唱する
新年金制度の2つの問題

 今回の社会保障・税一体改革は年金制度改革に関し、2段階の工程が想定されている。第1段階は「現行制度の改善」(但し改善とはいえないことは既に指摘した)であり、具体的には、低所得者への年金加算、パートタイム労働者の厚生年金への適用拡大、および、マクロ経済スライドの見直しなどである。これらは、本連載第5回までで採りあげた。

 第2段階は、現行制度に代わる全く新たな年金制度の創設である。政府・与党は、新年金制度創設のための法案を2013年度中に国会に提出するという従来からの方針を崩していない。もっとも、行方は極めて不透明である。今回は、この新年金制度を検討するとともに、より現実的な改革の視点を提示してみたい。

 民主党が提唱してきたのは、所得比例年金と最低保障年金の組み合わせによる全国民共通の年金制度である(図表1)。政府の説明を借りれば、所得比例年金は、収入に応じて支払われた保険料に基づき給付される。最低保障年金は、所得比例年金が一定額に達するまで、月額7万円が給付され、所得比例年金がそれを超えると、段階的に減少していく。こうした共通の年金制度に、全ての国民が加入する。所得比例年金、最低保障年金の財源は、それぞれ社会保険料、税である。