金融パニックも、ちょっと一息ついた感じになっています。そうだとしたら、ドル/円がどんどん上がるというより、急激なリスクマネーの退避で「下がり過ぎ」となった一部のクロス円がどれだけ戻すかが注目できるのではないでしょうか。

 10月に入ってから急拡大した金融パニックの中、為替が特に激しい動きになったのはドル/円よりもユーロ/ドルよりも、一部のクロス円(ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でした。

 その中で、たとえばオージー(=豪ドル)などは、過去の実績と照らし合わせてみると、さすがに「下がり過ぎ」の「異常値」も目立ち始めたようです。

 まずは、オージー円(豪ドル/円)の5年移動平均線からのかい離率を見てみましょう。

オージー円(豪ドル/円)の5年移動平均からのかい離率
オージー円(豪ドル/円)の5年移動平均からのかい離率

 オージー円は今月に入り、一時63円割れ含みの動きになりましたが、この時に同かい離率はマイナス40%程度に達しました。これまでのオージー円と5年線との関係を見ると、かい離率がマイナス40%前後まで達すると反転することが基本になっていました。

 一度だけ、マイナスかい離率が40%を大きく超えて、それどころか100%さえ超えたことがありました。1980年代半ばの頃です。この頃は、プラザ合意という国際的な通貨調整があり、ドル/円が250円ぐらいから1~2年で120円と約半分になる前代未聞のドル暴落がありました。オージー円の5年線との「異常な関係」も、その影響だったのでしょうか。

オージー円はそろそろ反転か?
下がりすぎたクロス円に注目!

 以上を踏まえると、オージー円は5年線との関係で見た時、そろそろ反転しておかしくないところまで下がった可能性があるし、このまま下がり続けるなら、それはプラザ合意並みのドル暴落局面に巻き込まれるケースになると考えられるのではないでしょうか。

 次にオージーの総合力を示す実効相場と5年線の関係を見てみましょう。周知のとおり、今回のオージー安は、対円だけでなく、対米ドルでも顕著なものでした。

豪ドル実効相場の5年移動平均からのかい離率
豪ドル実効相場の5年移動平均からのかい離率

 5年線との関係は、実効相場の場合も、先に見てきたオージー円と基本は似ているようです。オージーの実効相場は、5年線からのかい離率がマイナス20%手前まで拡大すると反転するというのがこれまでのパターンであり、その例外はやはりプラザ合意前後の1980年代半ばだけでした。

 そして今回は、まさにその5年線とのかい離率が、一時マイナス20%近くまで拡大したのです。

 ドルが「第2のプラザ・ショック」暴落の最中にあるなら、マイナスかい離率はさらに拡大する可能性もあり、予断を許せないところでしょうが、そうでなければそろそろ反転が近いところに来たということだと思います。

 オージーとユーロの関係を見ると、すでに前代未聞の領域に入っています。対ユーロのオージー相場は、今月に入ってから過去最安値を更新しました。つまりオージーはユーロに対してユーロ発足以来で最大に割安になったのです。

 10月に入ってからユーロもかなり下がりました。ただオージーは、それに輪をかけて弱かったということです。下のグラフを見ていただくと、ユーロ/オージー(ユーロ/豪ドル)は、一定のレンジ内で推移してきたことがわかります。今回そのレンジを越えつつあるということです。

ユーロ/オージー(ユーロ/豪ドル)の推移
ユーロ/オージー(ユーロ/豪ドル)の推移

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