【3メガバンク】金利上昇で空前の最高益!三菱UFJFGは純利益2兆円予想も拭えない「関税&為替」リスクPhoto by Yasuo Katatae

3メガバンクが、2025年3月期決算で軒並み最高益を更新した。国内の金利上昇で本業が復活し、政策保有株式の売却も利益を大きく押し上げた形だ。しかし米トランプ大統領の関税措置がもたらした為替・株式市場の混乱により、各行は26年3月期の業績見通しを急きょ引き下げる異例の事態に。絶好調の裏で高まる先行き不透明感とリスクを詳報する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

MUFGは2兆円の大台視野も
関税要因の不確定要素が急浮上

 5月15日に出そろった3メガバンクの2025年3月期決算。金融業界全体が好調を維持する中、3社はそろって空前の好業績をたたき出した。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の25年3月期連結純利益は前年比25%増の1兆8629億円に達した。三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)も前年比22.3%増の1兆1780億円、みずほフィナンシャルグループ(FG)も前年比30.4%増の8854億円を記録し、3メガバンクは軒並み過去最高益を更新した。

 好業績の要因として大きかったのが、国内の金利上昇を背景とする利ざやの改善だ。本業の資金利益が堅調に推移したことに加え、政策保有株式の売却益も利益を大きく押し上げる結果となった。

 こうした流れは26年3月期も継続する見通しだ。MUFGは初の純利益2兆円という大台を掲げ、SMFGは1兆3000億円、みずほFGも9400億円と堅調な業績予想を示している。

 しかし、メガバンクの明るい展望に影を落とす不確定要素が出てきた。25年4月に米トランプ大統領が発表した関税措置だ。為替市場や株式市場、さらには企業活動に大きな混乱が生じた結果、各行は当初の業績見通しを急きょ引き下げざるを得なくなった。

 SMFGの中島達社長は決算会見で、「業務純益と純利益共に、3月時点の当初想定よりも引き下げた。通常は3月に年度計画を策定したものをそのまま5月の決算発表で公表するのが通例だが、今年はトランプ氏の関税措置を受け、急きょ見直した」と述べ、異例の対応だったことを明かしている。

 トランプ関税や為替の動向は、各行の業績に重大な影響を及ぼす可能性がある。次ページでは、メガバンクが直面するかつてない不確定要素を詳述する。