◆100円均一で「世界のダイソー」になる
◇1個の商品は100万個仕入れる

 催事場で得た手ごたえをもとに、ダイソーは香川県高松市に最初の直営店を出した。これが大当たりしたので、常設店舗のチェーン展開を本格化させていった。移動販売と違って、常設店舗は在庫を持ち、家賃を払うことが必要になる。が、社員側にしてみれば、働き方が大幅に改善するというよい面もあった。バブルが弾けたあと、100円均一ショップは売り上げを急速に伸ばすことになり、ダイソーは月に50から60もの店舗を出店した。

 100円ショップの商売は利益が出にくいため、大手資本が参入してこなかった。しかも矢野は仕入れの際にも工夫していた。1個の商品につき100万個買うように厳命していたのだ。ひとつの商品を100万個発注すれば、メーカーのほうでは一度に生産できない。生産が間に合わないなら、大手が参入してくるのは難しくなるのだ。

 商売の拡大にともなって、中国からの仕入れも開始した。ダイソーは、広州で開催されている世界規模の展示会、広州交易会に、業界内で一番早く参加した。インテリア系の飾りものをはじめ、家庭用品や文具など、種類を増やしていった。女性バイヤーだけでなく、男性バイヤーも活躍した。こうして商品数は驚くほど増加していった。

 やがて海外進出を果たし、「世界のダイソー」へ成長を遂げた株式会社大創産業であるが、社長の矢野は意外にも質素に暮らしているという。ネクタイはダイソーの100円ネクタイをしめ、ダイソーの300円リュックを背負っているそうだ。

◆売り上げを支える商品開発
◇99%が自社開発商品

 ダイソーは商品開発に力を入れている。これを100円で売っているのか、という驚きが客を惹きつけてきたからこそ会社のいまがある。1円しか儲からない商品をたくさん売ることが、ダイソーの商売の基本だ。自転車の空気入れも100円。伝統工芸品の美濃焼、有田焼も100円から販売している。また、アイデア商品も数多くある。べたつきや匂いのない工作用紙粘土や、出かけ先で荷物を掛けるための折りたたみ式バッグフック、ステンレスの荷電現象を利用して手についた食品の匂いをとるステンレスソープなど、バリエーションは実に豊かだ。

 ダイソーの取り扱い商品は約7万アイテムある。そのうち約99%が、雑貨の自社開発商品だ。毎月の新商品は300から500アイテム以上にのぼるという。

 驚くべきことに、ダイソーに長期的な経営計画はないという。「こんな商品が100円で買えるんだ」とお客さんに思ってもらえているからこそ経営は成り立っているのだといえる。それで、自ずと商品開発やコストダウンが進められてきたという面もある。