当面の主戦場は中国市場
政策主導で動き、消費者は不在

 そのため、今回のAABCヨーロッパでも、話題がEVに限定されると「中国ありき」という議論になった。

 台湾の工業技術研究院の発表によると、2017年の中国EV販売総数は、前年比53.5%増の77万7338台となった。これは2017年の世界EV市場140万台の半数以上を占める。また、2018年には中国EV販売総数は100万台に達する可能性が高く、さらに中国政府は2020年に500万台を目標として掲げている。

 NEV法では、2019年に市場のうち10%、2020年には12%との規制値を設けており、NEVが起爆剤となってEV販売台数における「中国ひとり勝ち」がほぼ確定している状況だ。

 もう一方のEV販売台数規制であるZEV法については、ホンダのアメリカ法人の発表にあったように、トランプ政権になってからEVを含む次世代車の普及について、連邦政府とカリフォルニア州が今後どのように擦りあわせをしていくのか「不透明な情勢」である。

 このように、EVについては、政策主導型での普及がいまだに“主役”であり、そこに自動車メーカーが「様子を見ながら、お付き合いする」といった格好だ。

 つまり、「消費者不在」の状況が続く。

 AABCヨーロッパでの4日間にわたる発表と議論、そしてアメリカ、ドイツ、フランス、ベルギー、スウェーデン、フィンランド、日本、インド、中国、韓国、台湾などからの参加者たちと個別に意見交換する中で、筆者は一抹の不安を感じた。

講演の合間、展示スペースで情報交換を行う世界各国からの参加者たち Photo by Kenji Momota

 もし、中国がNEV法実施に失敗したら、再び世界EVバブルは崩壊するのかもしれない。

 中国は2010年前後に実施した、公共交通機関を主体とした壮大なEV施策「十城千両」も、当初の普及台数目標に未達の地方都市が続出したことなどを理由に、なんの前触れもなく打ち切った過去がある。

 ジャーマン3が提唱するEVシフト。その動向、日本としてはしっかりと見守っていかなかればならない。

(ジャーナリスト 桃田健史)