みんなの意見にM課長は満足し、「今日はお疲れ様でした。次回はまた1ヵ月後に実施しましょう」と、会議を締めました。

 こうした会議が毎月繰り返されています。

自己開示と傾聴はできても
「方策と実行」が欠けている

 では、この会議のどこに問題点があるのでしょうか。

宮本実果(みやもと・みか)/1975年札幌生まれ。フリーアナウンサー、鉄道企業広報、人材開発コンサルタントなどを経て、産業カウンセラーを取得。2007年に「MICA COCORO」(東京・渋谷区)を設立。11年間で6500件のセッションと社員研修を行い、ビジネスパーソンの問題解決を多方面でサポートする。15年から社内外で通用する実践型人材育成養成講座「NEXT STAGE PROJECT」をプロデュース。著書は「仕事は人間関係が9割」(クロスメディア・パブリッシング)

 M課長は、研修で学んだ通り、ファシリテーションの基本である「ルール」を明言していますし、単に司会進行をするのではなく、部下の意見を全員から引き出しています。ですから、一見、何の問題もないように見えます。

 しかし部下たちは、満足していません。なぜなら、会議が「部下へのヒアリング」で終わっているからです。詳しく説明します。

 M課長が行ったファシリテーションそのものは、大きなズレも問題もありません。ところが、部下たちは、「意見交換をするだけなら、会議じゃなくても別の手段でもいいのではないか」と感じています。

 部下たちが課長に求めているのは、意見を聞くだけでなく、課長が出た意見をどう受け止め、その意見をもとにどのようにしようとしているのかという「リーダーとしての決断力」だったのです。

 M課長は、連載2回目「女性部下から急に距離を置かれた総務課長、一体何をやらかした?」で紹介した、部下の状況をリアルタイムに把握するための「自己開示」と「傾聴」はできています。