花粉症シーズン始まる、今年の飛散量予想が情報源によって真逆な理由

 昨秋、まったく異なる花粉飛散量予想をたて話題になった「日本気象協会vsウェザーニューズ」を覚えているだろうか。

 簡単にまとめると、日本気象協会の予報は「前シーズンより飛散量が多く、東北地方は前年比190%、関東甲信は同160%、東海近畿は同120%」。

 一方、ウェザーニューズの予報は「飛散量は前年より少なく、関東甲信は前年比で50%未満~70%、近畿は同半減。東北地方はやや多く、それでも110%~前年並み」といった具合。横並びが当たり前だった花粉飛散量予報がこれだけ食い違うのは珍しい。その理由は、前年(2017年)の夏の天候の解釈が違っているから。

 あるシーズンの花粉の飛散量は、前年夏の気象条件に左右される。たとえば前年の夏の天気が「晴れた日が続き、雨が少なかった」としよう。日光をたっぷり浴びている間にスギの雄花がよく成長し、翌春の飛散量が多くなる。逆に「雨が多く、日照時間が短い夏」の翌春は減少するわけだ。

 もう一つ影響するのが前年春の飛散量だ。ろくに花粉を飛ばせなかった年の夏は、スギも子孫を残すため必死に雄花を成熟させる。多少の日照不足などモノともせず飛散量を増やすわけ。逆に、たっぷり花粉をまき散らした年の夏は「充電モード」に入り、日照時間が多少延びようが、まぁホドホドなのだ。

 肝心の両者の読みだが、日本気象協会は「17年7月の高温で花芽が十分に成熟した」とみる一方、ウェザーニューズは「17年は8月の長雨など、天候不順で生育不十分」と8月の影響を重視。その違いが前述の予想につながった。

 一般の知名度は低いが花粉情報の老舗に、アレルギー専門医を中心に組織されたNPO法人花粉情報協会がある。同協会の予測は「各地で過去10年の平均量と前年量を上回る見込み」。前年が充電モードだった北関東、近畿地方の一部、中国・四国地方では前年8月の気温の影響を考慮しても、かなり多いと予想している。

 さて、今年も花粉症シーズンがスタート。あなたの体感では、どの情報源に軍配が上がりますか?

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)