残業が減って成果が上がる
という真実は理解されにくい

鈴木 そこなんです。講演会でも、残業削減についてご説明する機会がよくありますが、「素晴らしいことをされましたね」とおっしゃっていただくんですけど、最後に「ところで、それなのにどうして決算の数字がいいんですか?」と質問されることもあります。慈善事業でやっているわけじゃなくて、そのほうが会社の利益が上がるからやっているのです。

小室 「かけた時間=成果」という考えから抜け出せないので、「残業が減って成果が上がる」という事態が飲み込めないんですね。

鈴木 ピンポイントでこの土日だけ働けば、瞬間風速で数字が上がるに決まっている。でも、そんな働き方が毎週、毎週続くわけがない。会社がサステナブルになるためには、働き方もサステナブルじゃなきゃダメなんです。

小室 働き方がサステナブルな職場にしか、優秀な人は来ませんから、これだけ人手不足になってくると、ますますそこで差がついていくわけですね。

小室 19時前退社が始まったとき、社内で反発やモチベーション・ダウンは起こりませんでしたか?

鈴木 確かに、当時は22時、23時まで残業をするのがザラでした。「投資信託はいつまで」「この商品はいつまで」という締め切り日があったので、その直前はみんな必死になるわけです。

小室 ギリギリまで残業をして詰め込むんですね。

鈴木 だから「19時前に帰るなんて無理だ」と普通は思いますよね。支店長や営業の取締役たちは、「仕事が増えているのに早く帰れなんて矛盾しています。鈴木さんはここまでいろいろ改革をやられてきたけれど、これだけは絶対にできません」と断言していました。最初は、みんな半信半疑だったと思います。「確かに今までも早く帰れとは言っていた。でも、結局どこかでうやむやになってきた。だから、今回もどうせうやむやになるんだろう」と、みんな心のどこかで思っていたはずです。

小室 甘く見ていた。

鈴木 でも、私は決めたら絶対にやると思っていました。最高の戦略を立てていい加減にやるよりも、大した戦略じゃなくても徹底したほうが絶対に勝つ。だから徹底したわけですけど、最初はなかなか浸透しないですよね。19時前に終われと言っているのに、少し超過する支店もあった。