よりよい老人ホーム選びの五ヵ条

私は「よりよい老人ホーム選びの五ヵ条」というものを提唱しています。この五ヵ条を踏まえれば、先ほど紹介したようないい施設と巡り合えるはずですし、「悪徳」な施設も見抜けます。

1. すぐ入居できます、は疑おう
2. 家族が施設の昼食を食べに行こう
3. 職員の離職率を調べよう
4. 月額料金は総額を聞こう
5. 看取りケアをやっているか、聞いてみよう

この五ヵ条は非常にシンプルですが、それゆえに使えます。それでは、それぞれくわしく見ていきましょう。

1. すぐに入居できます、は疑おう

家族で老人ホームの見学に行くと、こう言われることがあります。

「いま一部屋、たまたまキャンセルが出たので、この場でハンコを押していただけたら、すぐに入居できますよ!」

このような言葉は、絶対に信じないでください。入居する本人の様子も見ずに「いますぐ受け入れます」という施設では、なにかあったら即退去を迫られる可能性が高いです。そもそも対応が不誠実です。

もし本人がインフルエンザなどの感染症を患っていて、すぐに入居させて集団感染でも起きたらどうするのでしょう。もし本人に精神疾患があって、普段のケアで対応しきれないような状態だったら、いったいどうするのでしょう。
いい施設は、そういったことを事前に本人に会って確認します。そのうえで「大丈夫です。この方にはこういうケアができます」と責任を持って受け入れます。それが本来のあり方です。

病院から「あと1週間で退院してください」と言われて、あせって入居先を探しているときなどはこの手の誘いにのってしまいがちですが、病院まで本人を見に来てくれるような施設を選ぶようにしたいものです。