4. 月額料金は総額を聞こう

施設選びの際、多くの人にとって「いくらくらいかかるのか」は重要な基準になりますが、月の総額を見るのが鉄則です。

パンフレットには安心価格15万円と書いてあったのに、さまざまなオプション料金が加わって、実際の請求書を見ると35万円と記載されていてビックリ、といったことはしばしばあるので注意しましょう。よくよく内訳を見ると、「ナースコール 1回/〇〇〇円」というように、驚きの料金体系をつくっている施設があったりします。

料金の説明を受けるときは、「うちの親と同じ要介護度で、同じような状態の人には、実際いくらくらいの請求書を発行していますか?」と聞くといいでしょう。それで口ごもるようなら、その施設はやめたほうがいいです。

5. 看取りケアをやっているか、聞いてみよう

看取りケアをやっているかどうかというのは、実はいちばん大事なポイントかもしれません。
看取りケアとは入居者の方が亡くなっていくときの最後のケアのことで、それを行っているということは、無理に心肺蘇生をするのではなく、自然なかたちで息を引き取るサポートをしているということになります。

看取りケアをするのは、施設側にとっては大きなリスクです。家族が臨終に間に合わなかったときなどに責められるかもしれないからです。
「あのときなんで心臓マッサージをしてくれなかったんですか!」「なんですぐ病院に運んで延命しなかったんですか!」とあとから言われないように、事前に家族に同意書を書いてもらう必要があるのですが、それをするだけでも「私に父を見殺しにしろと言うのですか!?」などと言われたりするわけです。

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しかし、そこでめげずに、穏やかな最期を迎えるとはどういうことか、逆に、心肺蘇生術を施したときにどんなことが起こり得るかを丁寧に説明し、同じように看取った家族の事例などをお話ししていくことで、ようやく同意してもらえます。

肋骨が折れてもひたすら心臓マッサージをするのがいいのか。病院に運ばれ、いろいろな管につながれて、とにかく生命を維持するのがいいのか。それともいつも生活していた場所で、最期ゆっくり息を引き取って、一緒のテーブルで食べていた人たちに棺にお花を入れてもらって、みんなで見送ってもらうほうがいいのか。

いろいろな考え方があるので、どれが正しいということはないのですが、看取りケアを一生懸命やっている施設には、ときに家族と対立するかもしれないリスクを引き受けてでも、ひとりひとりの入居者に寄り添う覚悟があるということになります。