2月17日、パリのフランス銀行(中央銀行)本店前に長い行列ができた。旧フラン紙幣のユーロ紙幣への交換が終了する日だったからである。同紙幣の法的通用力はその日をもって消滅した。いまさらユーロをやめてフランに戻ることを望む声は街の中では多くない。

 ワシントンのシンクタンクであるPIIEのフレッド・バーグステンは、2月1日に米議会の公聴会で「今回の危機のすべての重要な局面で、ヨーロッパは実際のところ、崩壊を避けるのに必要なことをすべて行ってきた。われわれは、ドイツとECBが今後も破滅を避けるために必要なことをなんでも行うであろうことに、強い自信を持っている」と楽観的な観測を述べた。確かに振り返ってみればそうであり、今後も欧州当局者はユーロを支えようとするだろう。しかし、有権者のあいだで感情論からのハプニングが起きることが恐ろしい。

 従来はギリシャ人に同情を示すことが多かったフランス、イタリアにおいても、最近は「ギリシャ人異質論」が出始めている。イタリア人であるドラギECB総裁は、2月9日の記者会見で「ギリシャはユニークだ。もうあの経験はしたくない」と嘆いていた。同じ“地中海クラブ”の彼らでさえそう言うのだから、北ヨーロッパの国々のギリシャへの不信感は強烈なものがある。