中国が、米国から輸入している物は、「中国国内で生産できないものだから、給料の高い米国で作ったものをわざわざ輸入している」。だから、中国が対米輸入を制限したら、日本を含む他の先進国から輸入せざるを得ないとなるからだ。

 中国以外の国も対米報復関税を課せば、これまた日本の輸出がさらに増えることが期待される。もっともEUは、ハーレーダビッドソンやバーボンウイスキーなどへの関税を検討しているもよう。だとすれば、日本の“漁夫の利”は、あまりないかもしれないが。

中国が米国債を
売る可能性は小さい

 少し視点を変えて、「中国が、報復手段として米国債を売却し、米国の金融市場が混乱することで、日本にも不利益が生じる」と案ずる市場関係者もいるようだが、それは杞憂だろう。可能性がゼロとは言わないが、中国自身が被る打撃が大きすぎるからだ。

 中国政府が保有する米国の長期国債を売却し、売却代金のドルを米国内で短期運用するのであれば、米国の被害は大きくないので報復の意味がない。となると中国は、保有する短期の米国債を売却し、それに伴って値下がりした長期の米国債を買うことになるだろう。

 それでも足りなければ、長期国債ではなく、短期国債にすればいいだけの話だ。ただ、そうなると中国政府は、長期でリターンを得る機会を放棄するのみならず、長期国債を大量に売却したときに値下がりしてしまい、損を被る可能性もある。

 また、中国政府が、米国債を売却した代金であるドルを、人民元に替えて自国に持ち帰るのであれば、それは自殺行為だ。人民元相場が急騰し、中国の対米輸出が格段に困難になってしまうからだ。