1つに集中して成功し、
徐々に拡大すればいい

スタートアップの〈オネスト・カンパニー〉もオムツのイノベーションに取り組んでいる。

だが、パンパースと正面からがっつり戦っても勝ち目はない。

すべての面でパンパースに勝るオムツを作るのは不可能だ。

そこで、1つのことだけに集中した。今注目を集めている環境にやさしい、有害物質を含まない商品の開発だ。

100%自然素材を使うことで、環境に気を遣い、赤ちゃんへの有害な化学物質の影響を心配する親たちに、直接訴求した。

オネスト・カンパニーのオムツは内側と外側に植物由来の生地を使い、サステナブル認証を受けた森から伐採した木を原料とした吸収剤を使用し、塩素加工も漂白もせず、自然のシトラスとクロロフィルからできた消臭剤を使っている。

超吸収剤の核になっているのは生分解性物質で、グルテンフリーの小麦とトウモロコシの組み合わせだという。

食べられるくらい健康的に聞こえるこのイノベーションは、大ヒットとなった。

正直に言えば、オネスト・カンパニーのオムツがパンパースより機能的に優れているかどうかなんて、ほとんどの親には全くわからない。

それでも、オネスト・カンパニーのオムツのほうが赤ちゃんにとって安全で環境にやさしいと感じている。

1つのことだけを誰よりも極めることで、オネスト・カンパニーはブランドを構築し、手強いライバルたちを出し抜いている。