P&Gが取り組んだ
オムツの感情的な働き
では、ユーザーが本当にほしいものがどうやったらわかるのか?
誰も見つけていないその1つのものとは何なのか?
最大のイノベーションが比較的ささいな変更から生まれることがある。
革命的なイノベーションを生み出すのは、思考の大転換でも技術的なブレークスルーでもなく、たいていは物事のやり方をちょっとだけ変えてみたというようなことだ。
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)を例にとってみよう。
P&Gは1950年代から〈パンパース〉ブランドのオムツを製造してきた。
50年間改善し続けてきたから、何もかも考え尽くしていてもおかしくない。
オムツなんてそれほど複雑になりようがない。
それでも、P&Gは昔と変わらず今も商品改善とイノベーションに必死に取り組んでいる。
彼らがイノベーションを起こそうとしている分野の1つがオムツの「感情的な働き」だ。
言い換えると、使いやすく、ユーザーの感情が満たされるオムツをどうしたら作れるか、ということだ。
赤ちゃんがオムツ替えの間にどうばたつくかを観察したパンパースのチームは、新しいアイデアを思いついた。
オムツの正しい替え方を示した簡単な絵をつけることにしたのだ。
夜中のオムツ替えに苦労していた親たちに、これは大いに役立った。
また、赤ちゃんを起こさないよう、あまり音のしないテープを開発した。
そのちょっとした変更は大きなブレークスルーには思えないが、オムツの世界では、重要な発明だった。