――確かに、大きな変革期には確固たる理念と、それを遂行していく情熱が必要でしょうね。しかし、今の政党は必ずしも理念や哲学で結束してるわけではありません。かつて、与党時代の自民党もそう言われていました。政党がもう一度理念で結びつき、国民にポリシーを訴えるためには、やはり政界再編が必要ではないでしょうか。

 今の自民・民主両党に、かつて互いの政党にいた議員が混在し、各政党が1つの理念で結びついていないという問題は、確かに大きい。理想論としては、1つの旗の下に志を同じくする政治家が垣根を越えて集まることが望ましいですね。ただ、小選挙区制の下では、それは難しいのが現状です。

 しかし、次の総選挙ではそんなことを言っていられません。おそらく第三極も含めた大混戦になるでしょう。民主党に対して強い「ノー」が突きつけられる一方、それが既成政党全体に向かってくる可能性もある。不確定要素が多く、一概には言えませんが、選挙の結果次第では政界再編が起きる可能性も十分あると思います。

 政局安定のためには、短期間に2回くらいの総選挙を覚悟しなければなりません。終戦直後はそういう選挙が頻繁に行なわれましたが、今後は当時と似た状況になるかもしれませんね。

 今年は、日本からGHQ(占領軍最高司令部)が去り、独立を回復してから、ちょうど60年の節目。日本人は、いまだに当時米国から与えられた国家観に縛られている側面が強いように感じます。この機会に、「真の精神的な独立」を果たす意味でも、政治家自身が「国のあり方」を考え直す必要はあります。

憲法改正が後回しにされた日本には
国のあり方を問う風潮が根付かなかった

――かつての安倍内閣は、「美しい国」をキャッチフレーズにして、国家ビジョンの再構築を強く打ち出した印象があります。今後、政策論争が行なわれる際に、どんなビジョンを持つことが必要だと思いますか。

 結党時、自民党には大きな目標が2つありました。1つは憲法改正を目的とする真の独立の回復、もう1つは安定的な経済政策を進めて衣食住が足る生活を国民に与えることでした。ただ、当時は日本が貧しかったので、国民生活の建て直しに重点が置かれ、憲法改正が後回しにされたまま、今日に至ったわけです。その結果、国のあり方を問う風潮が、日本には根付きませんでした。