まず、経営者やリーダーとして当然ですが、デジタルや新技術があるからこそ可能となる事業機会を見定め、ビジョンを示して周囲を引っ張っていけること。会社にとっての利益や有益性ではなく、社会にとっての意義に、人もお金もついていくということへの理解。そして、それを実行するためのチームビルディングや社内風土のつくり方を知っていること。サービスを常により良くしていくために妥協しないチームの姿勢や仕組みを形成できること。何が実行できて、何が実行が難しいのかを理解し、工数を把握する能力や、投資リスクとリターンの感覚値を身につけていること。外部人材の積極的活用・登用を行うこと。そして、言うまでもないことですが、自社他社問わず多くのデジタルサービスを使ってみて自身の事業のヒントにする好奇心や学習意欲が高いこと、などなど。

 デジタル化を推進できる経営者の方々の大半は、ご自身の経験の中でのトライアル&エラーによってこうしたcode of conductなり価値観なりが自然に身についているのだと思います。

変革の起点となり得る
企業群の存在に注目したい

 さて、今紹介したようなことは、日本の大企業の社長や経営層の方々にはできないことでしょうか? ある程度のデジタルに関する知見はもちろん必要ですが、何も今からデザインスクールに行くべきだとか、イチから最新のプログラミング言語を学ぶべきだとか言っているわけではありません。実際、上述のようなことは、別にデジタルでなくても、あらゆる事業において必要であり、実行してきたことではないでしょうか?

 デジタル事業と非デジタル事業では、それぞれの特性が大きく違うために、やり方が異なるということは確かにあります。ゆえに失敗することもあるでしょう。しかし、1度や2度失敗しても、成功するまでやり続けてみれば良いのです。大企業は体力があるので、ベンチャーに比べれば、ひとつの失敗が命取りにはなりにくい、というのも強みなのですから。

 日本の大企業の大半は大きく、それも超短期間で変わらなければならない、という危機感を抱いているのは私だけではなく、実際にそういった企業で働く方々にもその意識があるのは間違いないと思います。ですが、私はトップ層が変われば(マインドセットが変われば。それが無理なら人を入れ替えてでも)、企業は変われるものだと強く確信しています。

 変革の起点となり得る大企業として、現在私が注目しているのは次の4つの企業群です。①トップダウンでの推進力の高いオーナー系企業群、②事業内容はニッチなれどもいち早くグローバル化を推進してきたグローバルニッチ企業群、③これまで会社の傍流を歩んできた人が、時代のニーズの変化によってその傍流が本流化してきた結果、社長やそれに準ずる立場にいる企業群、そして④上述の①~③に当てはまらないものの、断固たる意志を持ってトップダウンを遂行しようとしている企業群。

 上記に示した企業群に私が注目している理由に関しては、いずれまた別の機会にでも詳しくお話しできればと思いますが、こういった企業が増えれば、日本のビジネス界、産業全体がもっと活気づいていくことでしょう。

 さて、私自身も、新たなイノベーションを起こすためには、過去の経験や、BCGDVの枠組みだけにとらわれず、絶えず挑戦を続けていかなくてはなりません。これからも日本の大企業の変革の一助となるべく、志を同じくする仲間と共に切磋琢磨しながら、精進していきたいと思っています。

平井陽一朗

デジタル化を推進できる経営者とできない経営者は何が違うかBCGDV東京のメンバーたちと