今回のテーマは、「ベンチャー投資の考え方」です。米国や中国の企業に比べ、日本の大企業は、ベンチャー事業投資にあまり積極的ではない印象があります。しかし、各産業で大きな変化が起こっている現在、新事業領域、とくにデジタルビジネスへの投資は、大企業が生き残り、成長する上で有効な手段となりつつあります。そのベンチャー投資を成功に導くための重要なポイントについて、BCGデジタルベンチャーズ(BCGDV)のメンバーである野田がお話しします。

ベンチャー投資を成功させるために
不可欠な3つの観点

BCGDV 野田臣吾 ベンチャーアーキテクトディレクター

 連載の第3回でも触れていますが、BCGDVの新規事業創出のアプローチでは、「イノベーションフェーズ」、「インキュベーションフェーズ」、「コマーシャリゼーションフェーズ」の大きく3つのフェーズに分けてプロジェクトを進めていきます。

「イノベーションフェーズ」はアイデアを絞り込み、事業計画へと落とし込むフェーズです。その前半の拡散フェーズにおいてアイディエーションにより出された、時には数百ものアイデアを、後半の収斂フェーズにおいて通常3~5個のコンセプトにまでしぼり込みます。そして、複数回開催される投資委員会の最後にコーポレートパートナー(協業先)とともに、BCGDVも投資主体者としてGO/NO GOを判断します。双方がGOを出したコンセプトには実際に投資を行い、次の「インキュベーションフェーズ」で開発および上市へと進めていきます。

 さて、このGO/NO GOの判断は、どのような基準をもとに行うものなのでしょうか。BCGDVはベンチャーキャピタル事業のみを専業とする組織ではありませんが、その過程においては、通常のベンチャー投資と同様にいくつかの観点に基づく投資判断を行っています。

 ここでは、特に大企業がベンチャー投資を成功させるためにどのように投資判断を行うべきか、「ポートフォリオ」、「投資ステージ」、「企業(事業)の評価額(バリュエーション)」の3つの観点に分けて説明していきたいと思います。