コンビニエンスストアや自動販売機で気軽に手に入る「エナジードリンク」。日本では、お父さん御用達の栄養ドリンクが市民権を得ていたこともあり、あれよという間に広まった。
一方、欧米では販売を薬局に限定するほか、18歳未満の青少年に対する販売を禁止する法律や条例が施行されるなど、一定の制限を設ける動きが広がっている。今年3月にも、米国スポーツ医学会が公式声明として、小児の摂取に対し警告を発した。
声明では、エナジードリンクに含まれる高用量のカフェインなどが睡眠障害、不安、心血管疾患のリスクになると指摘。子供を監督するトレーナー、コーチに対し、推奨事項を守るよう提案している。
主な推奨内容は、
(1)エナジードリンクは子供や18歳未満の青少年向けの商品ではない。また、子供向けのマーケティングを行うべきではない。
(2)激しい運動中、またその前後にエナジードリンクを飲むべきではない。死亡例が報告されている。
(3)エナジードリンクは水、清涼飲料水とは全く異なる飲み物で、無計画に飲み続けると深刻な副作用が生じる可能性がある。リスクについての教育が必要である。
米国のエナジードリンクは「サプリメント」に分類されるため、カフェイン含有量の制限が緩い。また、タウリンなど日本では医薬部外品扱いの成分が当たり前に使われ、相互作用による心拍数の増加や中枢神経系の過興奮リスクが指摘されている。
一方、日本のエナジードリンクは清涼飲料水扱いで、タウリンの代わりにアルギニンやガラナエキスが使われている。ただし一部の製品は天然タウリンを“添加物”として利用するなど、一概にリスクが低いとはいえないようだ。
カナダでは子供のカフェイン摂取量を明確に定め、4~6歳は45ミリグラム/日、7~9歳は62.5ミリグラム/日、10~12歳は85ミリグラム/日を上限としている。カフェイン入り炭酸飲料ならコップに1、2杯程度だ。過剰摂取のリスクは避けたい。
第一、子供時代からその場しのぎの疲労回復法を覚える必要はない、と思いませんか?
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)