「疲れた」というだけで病院に行く人はほとんどおらず、多くの人がそれぞれのやり方で疲れを癒やしている。しかし、それらの方法は科学的に見て、本当に効果があるのだろうか。

 マッサージに5422円、サプリメントに4407円──。疲労チェックで「危険ゾーン」と判定された人たちが、月に使っている疲労回復費用の金額だ。詳細は「疲労度3000人アンケート」をご覧いただきたいが、実に8割もの人が疲れているという現状で、回復方法は多岐にわたり、皆、多額の費用を掛けている。

 しかし、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授で、東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身院長によると、「科学的にその効果が証明されている疲労回復法は少ない」といい、「疲れが取れる」と世間で信じられているものの多くは、その人の主観や経験に基づくものだと指摘する。

 梶本院長らが携わった1999~2005年の「文部科学省科学技術振興調整費による疲労研究班」は、大阪府民を対象に、さまざまな疲労回復法の実践状況、またその実感効果についての調査を行った。15~64歳の1219人から回答を得ており、現在、あるいは過去1年間に疲れやだるさを感じたことがある人の割合は85.1%。そのうち9割以上の人が、自分でできる何らかの疲労回復法を試していると答えている。

 この調査結果をまとめたのが、グラフ。これは、それぞれの疲労回復法の実施割合と、その実感効果の割合を比較したものだ。

 一番実施率が高かったのは「入浴」の56%。「その他、上位に挙がっているのは、コーヒー、入浴剤、日本茶、お酒、体操、栄養ドリンク剤など。どれも、自宅で手軽にできる方法で、特に飲料系が多くを占めていた」(梶本院長)。

 しかし、これらに対して「効果があった」と答えた人の割合を見てみると、入浴は37.5%、「コーヒー」は12.8%、「入浴剤」は20.4%など、それほど満足度が高くないことが分かる。

 逆に、実施者の中で「効果があった」と回答した割合が一番高かったのが「アニマルセラピー」。正直、ポピュラーな疲労回復法とは言い難く、実施率も7.4%と低いが、そのうち57.1%が効果を実感したと答えた。

 次に高い割合だったのが「笑い」だ。これも効果を実感した人が55.3%と、半数以上の人が疲労感の回復効果を認めた。アニマルセラピーと並んで、体に直接的にアプローチするものではない方法で、高い満足度を示したのは興味深いところだ。