一方、投信Tは、購入時手数料3.24%がかかるため、まず元本が29万280円に目減りした状態からのスタートになっています。さらに、信託報酬が2.34%と高いので、5%の利回りからそれを差し引くと、実質的には2%未満の利回りしかありません。きわめつけは、解約時にかかる0.50%の信託財産留保です。結果、手元に残るのは63万円程度……投信Sの半分くらいの利回りです。

 以上、パッシブ型であるインデックス投信のほうが手数料が安くて済む理由をお伝えしてきました。「でも、結局は、『優秀な株』だけに投資しようとするアクティブ投資信託のほうが、利回りは高くなるでしょ?」と思いますよね。じつはそんなことはないのです。それについて次回お話ししましょう。

【執筆者紹介】
岩崎淳子(いわさき・じゅんこ)

ファイナンシャル・プランナー/米国公認会計士/パーソナル・ファイナンシャル・スペシャリスト(CPA/PFS)/Smart & Responsible代表。上智大学ドイツ語学科を卒業後、NTTに入社。米パデュー大学大学院 経営科学修士。ガートナーなど外資系IT企業にて、マーケティング戦略やアナリスト業務を経験したのち、2000年、夫の転職を機に米バージニア州に移住し、2歳児の子育てと家事を担当する専業主婦へと転身。大学で工学を教える夫が、家計に関わる余裕がなかったことから、自身の役割を「一家を支えるCFO」と再定義。仕事で培ったリサーチ・分析の能力を武器にしながら、独学でCPAとPFSの資格を取得。2011年、自身の苦労した体験に基づき、個人向けファイナンシャル・プラニングを行う「Smart & Responsible」を立ち上げ。主婦と専門家の2つの視点から、効率的な家計システム構築のヒントをアドバイスしている。現在、米カリフォルニア州在住。聖書をこよなく愛するクリスチャン。初の著書『お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計』を出版。