このインデックス投信は、バンガード社の創始者であるジョン・ボーグルという人物の手によって、1975年に初めてこの世に誕生しました。彼がS&P500というアメリカの株価インデックスに連動する投資信託を立ち上げた当初、このアイデアは「ボーグルの愚行」などと呼ばれ、嘲笑を浴びたといいます。人よりも秀でること、人とは違っていること、前へ前へと出ること、ユニークであることを重んじるアメリカでは、「平均狙いの金融商品」などには、誰も見向きもしないだろうと笑われたわけです。

 しかし、この世界で最初のインデックス投信は現在、約32兆4600億円の資産高を誇るVanguard 500 Index Fundとして存続しており、投資信託評価会社のモーニングスター社からは最高ランクのゴールドレーティングを与えられています。バンガード社はいまや、ボーグル氏が掲げた「徹底した低コスト、明確な手数料提示、顧客への利益還元」という社命を維持したまま、約400兆円の投資資産を抱える全米市場ナンバーワンの投資信託会社に成長しました。

 最初は小馬鹿にされ、みんなから嘲笑されていたインデックス投信は、この40年以上の歳月をかけて人々に受け入れられてきたのです。かく言う私も、バンガード社の大ファンの一人です。

 一方、インデックス投信にはいまだに根強い反対派がいます。彼らの言い分はこうです。

 「市場全体を持つということは、勝ち組の株だけでなく負け組の株も持つということだ。負ける株までわざわざ持つなんて馬鹿げている!

 どうでしょうか? なかなかもっともらしい意見だとは思いませんか?

 平均を狙うにしても、あまり優秀とは言えない銘柄は排除したほうが、平均の利回りはよくなるように思えます。それなら、株価チャートの値動きのパターンとか、過去の利回りとか、企業の財務情報を見たりしながら、有望な株を選抜し、それらをしっかり組み合わせるポートフォリオをつくったほうが、はるかに高い利回りを稼げるのではないか、というわけです。