リアルの金融機関より
仮想通貨交換業者が狙われる

 医療機関だけではなく、金融機関や仮想通貨交換業者も狙われている。一昔前は、ネットバンキング口座から現金が不正に引き出される被害が目立ったが、ここ最近、その矛先は仮想通貨に向けられているという。

 今年1月、仮想通貨交換業者「コインチェック」から、580億円相当の仮想通貨NEMが流出し、それらはダークウェブ上で洗浄された後、全額が第三者に渡ってしまった。

「この事件で、一層ダークウェブに注目が集まったと思います。中には摘発されている事例もあるのですが、犯罪者たちには足がつかないイメージを与えてしまったのではないでしょうか。今後もこういった犯罪は増えていくと予測しています」

 日本に限らず、今や世界中が、ダークウェブ上の犯罪に右往左往している。お上の力が及ばない以上、企業はどのような対策を講じればいいのだろうか。

「企業がダークウェブ対策まで自前でやるとなると技術的にも費用的にも大変なので、外部のセキュリティー会社を使うのが現実的だと思います。まずは犯罪者たちが、自分たちが持っているどんな情報に興味があるのか、既に情報が外に漏れている可能性はないかといった、自社が置かれている状況を把握するところから始めるのがいいでしょう。あとは、セキュリティ会社と一緒にそういったリスクアセスメントを行うチームを社内に作ることをお勧めしたいですね」

 念のため忠告しておくと、もしネットリテラシーに自信がないのなら、間違っても安易にダークウェブにアクセスしようなどとは思わないほうがいい。会社のパソコンをウイルスに感染させ、上司にどやされた筆者から、僭越ながらの忠告である。