中国を陣営に取り込み

 中国は「GB/T」と呼ばれる独自の規格を持つが、実はチャデモと通信方式が全く同じで、数百円のコストで差し込み口さえ替えればそのまま充電できる。これはGB/Tが、チャデモの技術支援を受けて開発されたためだ。

 日本勢としては中国にチャデモを採用してもらうのがベストだが、中国にも“メンツ”がある。そこで中国は苦肉の策として、チャデモの差し込み口の形状を変えただけのGB/Tを後出しし、国際規格に申請。いわば日本の技術が“ただ乗り”された形だが、チャデモ協議会の吉田誠事務局長は「日本のメーカーからすれば、ケーブルなど関連部品の販路を中国に開拓できる。広義のインフラ輸出と捉え、積極的に技術支援をした」と語る。

 日本の技術を門外不出とせず、積極的に海外に開示する戦略が功を奏し、チャデモ協議会の正会員数は、16年に初めて海外が国内を抜き、以降右肩上がりを続ける。これを販路拡大の商機とみて、国内会員数も再び増加傾向にあるという。

 欧州では近年、コンボとチャデモの双方に対応する充電器も増えており、このことからも規格競争でチャデモが優位に戦いを進めていることが分かる。

 ただし、その優位性は、今後の成長が見込まれる新興市場の動向次第では逆転されかねない。例えばEVの欧州への輸出を狙うインドは、コンボの採用に傾いているとされる。またインドは中国製品の流入に対する警戒感が強く、中国と“共同戦線”を張った日本の戦略が裏目に出かねない。

「日中vs欧米」(吉田事務局長)の構図となり、新たな局面に入った規格戦争で勝つための戦略が問われている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)