一方、フロントガラスにはアンテナ以外の機能も追加される。車速などの情報を投影するHUD(ヘッドアップディスプレイ)、ルームミラーの位置にドライバーからは直接見ることができない車両側面と後部の画像を映し出すEVM(電子ビューミラー)、ドライバーの視界を妨げるような日差しを和らげる電子調光機能である。現在、フロントガラスは安全基準に対応してすべて2重合わせガラスであり、ガラスとガラスの間に極薄のフィルムが入っている。このフィルムに機能を追加して、新デバイスを実用化しようという開発が進められている。

 そしてもうひとつ、ガラスの代わりに樹脂を使うPG(プラスチック・グレージング)がある。この分野は、14年にUN-ECE(国連欧州経済委員会)内のWP29(自動車基準認証国際化部会)会合でフロントウィンドウへのPG使用が承認され、一気に実用化への期待が高まった。ドイツのフリーグラスとベバスト、米国のエグザテック、日本の豊田自動織機などが開発にしのぎを削っている。最大のポイントは、ワイパーの“引っかき”に耐えられる特殊コーティングの開発である。

開発の第一線では大改革が始まっている
自動車用ガラス

 内装に使われる薄型の特殊ガラスも注目されている。とくにインパネに使われるディスプレイ用のガラス。スマートフォンの画面はせいぜい5インチ(12.7cm)サイズだが、BMWが10インチを超えるタッチパネルを採用しており、いずれインパネ全体がタッチセンサー式スイッチを備えた1枚ものの特殊ガラスになるともいわれている。すでに開発は始まっており、指紋が付着しにくく、確実に画面タッチが感知できる精度に対応したガラスの開発が進んでいる。

 ふだんはほとんど意識しない自動車用ガラスだが、開発の第一線では大改革が始まっているのである。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)